もうすぐ夏休み「課題図書×衛星画像」 課題図書『中村哲物語:大地をうるおし平和につくした医師』から
もうすぐ夏休みですね。
今年の青少年読書感想文全国コンクール(第69回)の小学校・高学年の部の課題図書の一つが「中村哲物語:大地をうるおし平和につくした医師」です。故中村哲先生はアフガニスタンで医療活動をしていた医師です。貧困や飢饉、病気に苦しむ人々を救うには水が必要だと考え、用水路を建設するなどの灌漑事業にも貢献されました。
アフガニスタン東部の町、ジャララバードの北にあるガンベリ砂漠が舞台。灌漑事業によって大地がうるおい、植生豊かな土地に変化する様子を衛星画像は捉えていました。中村先生のもう一つの物語を、また、中村先生の意志を受け継いで今も用水路建設に励んでいる現地の人々の努力の証を、衛星画像で見てみましょう。
ご紹介した衛星画像にもう少し衛星画像を加えて、2000年~2022年の変化の様子をGIFアニメーションにしてみました。大地がうるおい、植生域が広がる様子を動画でご覧ください。
中村先生は、2019年12月4日に現地で車移動中に銃撃にあいお亡くなりになられました。しかしながら、中村先生が残された灌漑施設と、それにより育まれた豊かな大地はこれからも生き続けることでしょう。
衛星画像はこれからも歴史を記録していきます。
本コラムで利用した衛星画像について
本コラムで利用した衛星画像は、米国NASAの地球観測衛星TERRAに搭載された光学センサASTER(アスター:資源探査用将来型センサ)により取得されたものです。ASTERは経済産業省が開発した地球観測センサで、JERS-1/OPSの後継センサとして開発されたセンサです。可視域から赤外域までを14バンドで観測し、後方視によるステレオ視も可能です。分解能は15m(可視近赤外域)~90m(熱赤外)で、本コラムでは分解能15mの可視近赤外域のデータを利用しました。
画像は産業技術総合研究所地質調査総合センターの衛星データ検索システム(MADAS:METI AIST satellite Data Archive System)から入手し、当財団にて画像可視化、加工・編集を行いました。